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おつうじ外来(便秘・下痢)のお知らせ

厚生労働省の全国調査では、女性は20才頃から便秘症が増加してきます。

男性の方も年齢を重ねると便秘の方が増えてきます(図1)。

便秘は決して、高齢の方の病気ではありません。若い方でも多くの方が便秘で悩んでいます。

図1:便秘を自覚している人

◎では便秘とはどういう状態でしょうか?毎日出なければ便秘なのでしょうか?

3日に1回便が出る方、5日に1回の方がいます。また硬い便でおなかが張って苦しいという方もいます。排便後も便が残った感じがする、すっきり出ない、、、など様々な症状があります。

一方 数日に1回しか便が出ないが、排便後はすっきりして おなかの症状はない。こういった方は病気ではありません。2017年に公開された便秘症の治療ガイドラインでは、毎日出なくてもすっきり出ていれば便秘ではない、と書かれています。

◎便秘の原因は様々です。

ダイエットなどで食事量を減らすと、うんちの材料が不足して便秘になりがちです。また水分をとる量が少ない、食物繊維の摂取不足では、便が固くなり排便が苦しくなることがあります。食物繊維を可能なら、1日20g以上摂取して下さい(図2)。

図2:食物繊維の成人1日あたりの目標値

食物繊維をしっかり取るには、

​ある程度食事量をとらないといけないことが分かります。

朝食も大事です、朝食により胃結腸反射が起こり、大腸のぜんどう運動が強まります(腸内の便をお尻に向かって送る動き)。朝食を抜いたりせず、規則正しい生活習慣を整えて下さい。

精神的なストレスでは、大腸のぜんどう運動が低下し、腸内に便がたまり おなかが張ってきます。また運動不足で腹筋や骨盤底筋が弱ると、排便時に力んでもなかなか便が出てきません。

水分を十分にとる。乳製品や食物繊維が含まれた食事をバランスよく摂取し、腸内環境を整える。心身ともにリラックスできる環境づくりを心がける。腹筋を中心とした運動をする。

◎それでも便秘症状がある方は、当院にお越し下さい。

症状に合わせた内服治療を考えます。新しいガイドラインではエビデンスに基づいた内服治療の指針が示されています(図3)。

図3:エビデンスに基づいた内服治療の指針

またここ数年で依存性になりにくい薬が3剤 保険適応になりました。いずれも30年ぶりの新しい便秘治療薬で、これまでにないタイプの薬です。さらに、今後も数剤、保険適応の予定があります。ガイドラインでは、これらの薬を単剤、または組み合わせて用いることを勧めています。

 

新しい薬が出ていますが、「治りにくい便秘」もあります。最も多いのは、長期に刺激性下剤を服用している場合です。刺激性下剤は市販の便秘薬で多く使われています。また刺激性下剤と書いていない便秘薬や、漢方薬の一部、アロエなども刺激性下剤を含んでいることがあります。刺激性下剤は、よく考えて服用すれば大変効果的な便秘治療薬ですが、長期に服用すると、効かなくなるばかりか弛緩性便秘といって、大腸が拡張しほとんど便が出なくなったりします(図4)。

弛緩性便秘の方のおなかのCT画像

➡︎でかこまれた部分が大腸

■大腸内に多量の便のかたまりや便汁が​認められる。

​■大腸は拡張し、便が動いていないことがわかる。

図4:おなかのCT画像▶︎

新しいガイドラインでは、刺激性下剤は 短期間もしくは屯用での使用が推奨されています。

精神科や神経内科で処方される薬の一部で、腸の神経に作用し、腸の動きを遅くする薬もあります。パーキンソン病や糖尿病でも便秘を起こすことがあります。これらの便秘はいずれも「治りにくい便秘」の可能性があります。

当院では一人ひとりの症状を聞いて、内服薬で治療を開始したり、おなかのレントゲン検査や血液検査をしたりします。時には、おなかのCT検査(図4)や、大腸カメラ検査をお勧めすることもあります。

便秘で悩んでいる方、一度外来を受診してはいかがでしょうか。

ここまでは便秘の話でした。

下痢でお困りの方も、内服治療や検査で原因をつきとめて、治療していきます。整腸剤の服用で数日で治る下痢や、治りにくい下痢の方もいます。治りにくい下痢は薬剤の副作用で起こるものや、慢性の腸の炎症で起こるもの、過敏性腸症候群といって、腸の粘膜には問題はないが、ストレスで腸の動きすぎによっておこるものもあります。

下痢で悩んでいる方も、一度外来を受診してはいかがでしょうか。

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