ICU集中治療部
2010年4月、新棟完成に伴い、ICU6床、HCU5床でスタートしました。これまで旧棟での1年以上にわたる準備期間を経てのスタートです。
診療内容は各種疾患における院内最重症患者さんの重要臓器サポートを中心とした管理です。
呼吸不全、心不全に対して
ICUナースステーション
呼吸不全、心不全に対して、通常の人工呼吸器のみでなく、非侵襲的人工呼吸器の早期装着により、低酸素に伴う各種障害を未然に防止することを心がけています。
高齢者の心不全、誤嚥性肺炎、無気肺などに対しても非侵襲的人工呼吸の導入により気管挿管を避けた管理が可能となってきております。
少なくとも気管挿管までの時間を少しでも延ばし、ご家族への説明、ご家族間での相談の時間をできるだけ確保したいと考えております。
敗血症、重症外傷などでの多臓器不全に対して
ICUベッド
重症感染症である敗血症、重症外傷などでの多臓器不全に対して、人工呼吸器に加え血液浄化法であるCHDFを積極的に導入し救命を目指しています。
感染症は抗生物質で治ると考えておられる方も多いと思いますが、敗血症になると死亡率が非常に高くなり、まさに集中治療が必要となります。
心肺蘇生後脳症に対して
心肺蘇生後脳症に対して、以前勤務しておりました都城医師会病院での脳低温療法を当院でも行っていきます。より侵襲の少ない正常体温での管理も行っていく予定です。
これらは心肺停止により生じた低酸素性脳障害がさらに進行するのをくい止める治療法です。これまでに社会復帰までこぎつけた患者さんを複数経験しております。
メディカルシティ構想を踏まえた運営を目指して
当院のICUはメディカルシティ構想を踏まえた運営を目指しています。
通常のICUは入室基準など設定してあり、ICU室長の許可を要すなど入室のハードルが高いことがよくありますが、当院では重症であり空室があればいつでも入室し高度医療が可能なように心がけております。HCUを同じフロアーに用意し、ICUに準じた管理をできるようにしており、ICU退室患者さんの受け入れを容易にしております。
ICUでのせん妄発生はさまざまな問題を生じます。ご家族の方々の患者さんケアへの参加により、せん妄の発生、回復に対する効果が期待されております。
現在、感染対策やプライバシー保護対策など検討中であり面会時間を短時間に制限しておりますが、できるだけ早く面会時間の延長などの面会制限の緩和を行い、人間味のある高度医療ができることを目指しております。
ICU室長 小林 浩二