TOP > 醫市報(いしほう)Medicalcity Report > 栄養夜話 第3話
醫市報(いしほう) Medicalcity Report
栄養夜話 第3話
最近の若い(定義は知りません)女性は、必要以上に細くなることを好むようです。そのわりには食い気や飲み気?が旺盛すぎるようですが・・・。
低インシュリンダイエットのブームが一時期あって、なんやかんやの議論の末にブームも色あせてしまいました。このダイエット法の背景にある理論は、栄養学では初歩的なものなのですが、若い美人たちには魅力的に思えたようです。
インシュリンは、血糖値を下げるホルモンということで知られていますよね。食後に血糖値が上昇すると、すぐさまインシュリンが分泌されて血糖値を下げようとします。血糖値を上げやすい食品は、すなわちインシュリン分泌を促しやすい食品になるわけです。
くだんのダイエットの本質は、インシュリンを分泌しやすい食品(ブドウ糖になりやすい食品のことになりますね)をできるだけ食べないことなのですが、なぜインシュリンを分泌しやすい食品を食べると太るということになるのでしょうか?
インシュリンには血糖値を下げること以外に脂肪の分解をさまたげる働きがあります。インシュリンは、血糖値を下げるのに必要な濃度の10分の1の低い濃度で脂肪の分解を妨げますから、ある意味こちらのはたらきのほうが重要かもしれません。インシュリン分泌が多いと脂肪が減らないので太るということになるわけです。
こんな簡単な理屈でいいのでしょうかね?実は、低インシュリンダイエットで忘れられているホルモンが他にあります。グルカゴンです。これは、インシュリンと逆の働き、つまり脂肪の分解を速めますから、グルカゴンが分泌されると痩せることになります。
インシュリンもグルカゴンもすい臓が分泌するホルモンで、その分泌は微妙に調節されています。グルカゴンの分泌は、からだが緊張状態(喧嘩や、試験前などのアドレナリンが出ているような場合です)にあるときもっとも盛んになります。食べ過ぎて眠くなるような状態ではほとんど分泌されません。ですから、いくら低インシュリンダイエットでがんばっても、グルカゴンが分泌されない状態が続くようでは、絶対に痩せません。
大食らいなのに痩せてる人って多いでしょう?痩せてる人ほど、食べるのが速いでしょう?高速でご飯を食べると血糖値も上がって、インシュリンもいっぱい出てくるはずなのに・・・。変でしょう?
一方,神経質な人には痩せてる人が多いでしょう?いつも緊張してる人は太りにくいでしょう?グルカゴンの役割って大きいことがわかりますよね。だから、ゴルゴ13(さいとうたかをの描く国際的スナイパー)やシャーロックホームズはあんなにスマートなからだしてるわけですよ。
ダイエットを栄養学の一面だけから考えることは危険です。グルカゴンが分泌されると太らないのは事実ですが、かわりに糖尿病状態に近づきます。バランスを考えて、極端なことをしないことが大事です!
【4】